桜、月夜、愛おもい。


「あははっ!読心術なんてないよ。これは愛の―」

「あ~授業始まるー。先輩そろそろ教室戻った方がいいですよ♪」


私は静谷先輩の台詞を遮って、さっさと帰れオーラを振りまきながら言った。

それが通じたのか、先輩はいつもよりはあっけなく帰っていった。



「本当に静谷先輩のこと嫌ってるのねー。静谷先輩かっこいいじゃない」


静谷先輩の後ろ姿を見つめながら、咲菜が苦笑する。

先輩が廊下の角を曲がった後も、暫くそのまま見つめていた。



「………」



随分前から少しは感づいてた。


咲菜の気持ち。

それと、静谷先輩の本当の気持ち。



ただ、二人共素直じゃないから、はっきり言えないだけで。



< 14 / 163 >

この作品をシェア

pagetop