○○を想うと~special Fan book~


甘くて優しい母さんのニオイ
赤ちゃんの時から大好きだった母さんのにおい



「ぼく、高宮仁のままがいい。
桐谷仁なんてかっこわるいお名前いやだ。」



半べそになりながら母さんに訴えると



「バーカ。
それならそれで早く言え。
昨日区役所に行って婚姻届だしたから、お前はもう桐谷仁だ。諦めろ。」




目の前の悪魔は、こんなおとなげない、イジワルな言葉をぼくにぶつけてくる。






この桐谷慎って男はどうやらぼくの父さんらしい。








『仁を作るだけ作って逃げたのよね、あの男。』



理央ちゃんママはコイツのことをこう言ってた。



『ま、部長さんはイイオトコだけど悪い男だよね。』



祐吾さんはそう言ってた。





それに……



『伊織とパパは昔付き合ってたんだぞ~??
そのまま行けば仁の父ちゃんは俺だったかもな~!!』



大好きなしゅーちゃんパパはそう言ってた。




ぼくはソレをきいて桐谷慎がもっともっと嫌いになった。




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