Bitter Sweet Kiss
「話してるとこ悪いけどさ、診察が終わったんなら早く帰りたいんだけど?」

「あっ そうだったね。それは悪かった」


わざとらしく笑い声をあげる中年オヤジの油ぎった顔に、ヘドが出そうだ。

オレは残りのボタンをとめ始める。
ひとつひとつ摘まんで穴に通す、その作業を終えて部屋を出ようとしたとき。背後で放たれた言葉に足を止めた。


「君のお母さんも昔、看護師をされていたそうだね?」


オレとあの人の話題を酒の肴にして呑んだんなら、キョウコちゃんのことも出てきて当然だろうな。

でもさ。

そんな直球でこられると、挑発されてる気になんだけど。それでもいい?

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