Bitter Sweet Kiss
だけど、呼吸が苦しくて突きぬけるような痛みが走って ――

そして、そんな状態を無視されたまま、監禁されるように箱の中へ押しこめられたんだ。

エレベーターの中、階数を増していくランプが滲んで見えた。

腕を掴まれドアが立ち並ぶ廊下へ出ると、ナツミさんがカードキーを取りだした。

どんなに望まれたって御奉仕なんてできっこないのに、こんな状態のオレを部屋へ連れこんでどうするつもりだよ?


力のこもらない手でポケットの中をまさぐるが、何も入ってやしなかった。

声が聞きたかったんだ。

そして、あの日のように言いたかった
『助けてよ』って。


ドアが開かれ背中を押される。その場に倒れこむように膝をついて、呼吸を乱した。

だけどオレは知らなかった。

ナツミさんと共にホテルの部屋へ消えたオレのことを、彼女が見ていたなんて気づくことはできなかったんだ。




< 306 / 351 >

この作品をシェア

pagetop