峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
峰岸が宇宙に行く前日の夜、家の電話が鳴った。

帰宅が遅いあたしは、テレビを見ながら遅い夕ご飯を食べてた。


出てと言うキッチンからのお母さんの声に、あたしは食べかけのハンバーグを必死に飲み込みながら受話器を取る。



「もしもし、永山です」

『あ……永山?』


少しこもってる受話器からの声。

でも、あたしには一瞬で相手が分かったんだ。




「峰岸!」

思わず叫んだ。

そんなに大声出さなくても聞こえると、受話器の向こうで峰岸は笑った。


『この時間なら帰ってるかなと思ったんだ』


……峰岸だ。

峰岸の声だ。

嬉しさと、ドキドキした緊張感が体温を上昇させてく。


コードレスの受話器を耳に押し当てながら、あたしはリビングを出て部屋に向かう。





「峰岸…忙しいでしょ?体調は平気?」

『体調は万全。けど眠い』

「アメリカは今、何時?」

『朝5時』

「ふ……早起きだね」

『時差があるから、永山が確実に家に居る時間にかけたかったんだ。で、早起きしてみた』

照れ臭そうな峰岸の笑い声。


………すごく愛おしくて…。

心臓が止まりそうなくらいだよ……。
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