峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
峰岸は今、どこにいるの?




空を見上げた。



暗い……暗くてわかんないよ。



見えないよ?



まだ見えないよ。




峰岸、あたしはここだよ?

ここにいるよ?


峰岸を迎えに来たよ。


峰岸は帰るって言ったけど、待ち切れなくて会いに来たよ。



アメリカまで来ちゃったよ。

峰岸を驚かせてやろうって思ったんだ。




ねぇ……峰岸?



あたし、あとどのくらい待てば峰岸に会えるのかな?

誰も教えてくれないんだ。


「……ねぇ、矢口くん…峰岸は?」



返答してくれた矢口くんの声は小さくて、ちゃんとあたしの耳に聞こえてるのかどうか…わからないくらいで。


だから、聞き間違いなんだ。





…………空中分解って、何?


大気圏内で消滅って?



だってさっき…降りて来るって言ってたよね?


消える訳ないよね?



………空を見上げた。


峰岸………。


あたし、何か変だよ?


目が回ってきた。

星が回って見えるんだ。


峰岸……。



気が……遠くなる……。


夜空が……薄く…遠くなってく…。






助けて………峰岸。
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