峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
突然、屈み込むあたしの耳に激しい口調のアナウンスが聞こえてきた。




………サイレン?





閉じていた瞳を上げた。

周りを見渡す。




周りもざわついてた。

座り込む人………。


狂った様に、ゴッドって…神よって……叫ぶ声も…。


泣き出す……人?




え?

何?

わからないよ。



どうしたの?


シャトルはまだ?



……………峰岸は?



隣に立つ矢口くんを見上げた。


矢口くんは……双眼鏡を持つ手を力無く落とし……夜空を見ていた。



「……矢口くん、シャトル見えた?」




首を振る……矢口くん。


まだ?まだなんだ?

まだ旋回中なんだ?


「矢口くん、あと何分で見えてくる?」




……会えるよね?


峰岸はもうすぐ、帰って来るよね?




無言の矢口くん。




ねぇ、シャトルはどうしたの?

あたし英語、よくわからないんだ。

あと何分で帰って来る?

あと何分待てば峰岸に会える?



教えてよ。



全然わかんない。



今のこの、状況は…何?


騒然とする空気は……何?



峰岸…………どこにいるの?
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