峰岸の恋する宇宙-そら-(短編)
時々泣く夜もあるけれど、強くならなきゃって決めた。


峰岸が居なくても、あたしはこれからも強く、大人になっていかなきゃいけない。



生きていかなきゃいけない。



峰岸の事、忘れる事はできない。


忘れたくない。

なら、強くならなきゃいけないんだ。


忘れない覚悟と同時に、そう誓ったんだ。




あの、宇宙港で気を失った時に見た夢。


あれは峰岸が見せたんだと思う。



峰岸は、いつも空を見上げていた。


宇宙に恋してた。


だから宇宙は、もしかしたらあたしよりも…峰岸を理解していたのかもしれない。


ひたむきに宇宙に恋い焦がれる峰岸に、宇宙もまた、恋をしてしまったんだ。


まっすぐ空に伸ばした峰岸の手を、宇宙は引いた。


峰岸は今も、宇宙に居るのかもしれない。




………ずるいよね?



あたしの手が届かないって知ってるくせにさ。



意地悪だ。


食べかけのサンドイッチを置き、あたしは財布から手紙を取り出した。


アメリカから帰宅したあたしに届いてた、峰岸からの最後の手紙。


たたんだ便箋を開くと、いつもそこには、あたしだけの峰岸がいる。
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