初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】
『今日はありがとう。さくらちゃんのほうから電話してくれて』

「あ、いいえ――」

 ちらり、と時計を確認。

 もう10時前。

「こんな時間に電話して、すみませんでした」

『ううん。ぼくも電話が掛かってくる少し前にようやく落ち着いたんだ。――さくらちゃんの電話でほっとできて、嬉しいんだ』

「あ……そ、その……よかったです……はい」

 どう言っていいのか分からなくて、あたしは熱くなる頬をおさえながらしどろもどろに返事。

「えと……無理しないで、ゆっくり休んでくださいね」

『うん、ありがとう。――じゃあ……おやすみなさい』

「はい。……おやすみなさい」

 最後のシンさんの「おやすみ」の言葉の甘い余韻を残しながら、あたしはゆっくりと携帯の通話を切る。

「ふー……」

 そして一気に息を吐き出し、天井を見上げた。

 顔が熱くて凄く疲れてる……とっても緊張していたのね。

 そして――

 あたし、とうとうシンさんと会う約束をしちゃった。
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