初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】
「えと――あの、シンさん……ひとつ、聞いてもいいですか?」

 真治さんとのことを聞いたあと、あたしはもうひとつ聞いてみたかったことを思い出し、遠慮がちにそう切り出してみる。

「うん? ――ひとつと言わず、百でも万でも聞いていいよ」

 運転しながら、シンさんはからりと笑う。

「そんなにはないですけど……」

「それくらい、何でも聞いてほしいってことだよ。――なにかな?」

「あの――……」

 一瞬、どう聞こうか迷ったあと、

「――どうして、うちのお店へ来るようになったんですか?」

 ストレートに疑問を口にすることを選んだ。

「どうして、かい?」

「はい。……だって、あの日シンさんがお店に来て、あたしが接客しなかったら――きっと、今こうしている結果にはたどり着かなかったと思うんです」

 偶然が重なって今があると思う。

 だから、あたしは偶然の重なる「始まり」を知りたくて。

「うーん……そうだね……」

 どこから話そうかな――と。

 車を運転しながら、シンさんは前を向いたままぽつりとそう呟いた。
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