初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】
 チリリーン――……

 夕方を過ぎてお店が少し落ち着く時間帯。

 お客さんの数もまばらになりだし、今日はこの時間からラストまで、あたしと茜さんの2人で接客して行く。

 そんな頃に、来客を告げるベルが涼やかに鳴り響いた。

「お帰りなさいませ――」

 そこまで言って、思わず言葉を止める。

「あ――……」

「ただいま。帰ってきたよ」

 ドアの前には、いつもの温かくて朗らかな笑顔。

 シンさん――……

 少し後ろには、真治さんも立っている。

「お帰りなさいませ、ご主人様」

 あたしはにこやかに頭を下げると、

「お席へご案内いたします」

 手で奥を指していつものように席へご案内。

 いつも通りの変わらないふりをしていたけれど、

 内心は、凄くどきどきしていた。
< 62 / 212 >

この作品をシェア

pagetop