初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】
「あ――……」
食器を片付けるためにテーブルへ向かうと。
椅子の上に、あるものが置かれていた。
モスグリーンの紙……ううん、これ、封筒ね。
シンさんが座っていた席の隣の椅子にそっと置かれていたそれは、さっきテーブルの上に置かれていた封筒だった。
確か、この中から書類を出していた――よね?
っていうことは、この封筒はすごく大切なものじゃ……
――大変っ!
「あのっ、茜さん……っ!」
考えるより先にあたしの体は動いていた。
「どうかしたの? さくらちゃん」
「さっきのご主人様、忘れ物をしちゃったみたいなんです。まだ追いかければ間に合うかもしれないので、あたし、ちょっと走ってきます」
あかねさんの返事を聞かず、そのままあたしはお店のドアから飛び出して行く。
夜の顔になったばかりの街は、まだまだ行き交う人が多くて、お店を出てすぐに辺りを見渡したところで見つけることができない。
どっちだろう――……
一瞬強く迷ったけれど、次の瞬間にあたしの足は駅前の方を向いて走り出していた。
食器を片付けるためにテーブルへ向かうと。
椅子の上に、あるものが置かれていた。
モスグリーンの紙……ううん、これ、封筒ね。
シンさんが座っていた席の隣の椅子にそっと置かれていたそれは、さっきテーブルの上に置かれていた封筒だった。
確か、この中から書類を出していた――よね?
っていうことは、この封筒はすごく大切なものじゃ……
――大変っ!
「あのっ、茜さん……っ!」
考えるより先にあたしの体は動いていた。
「どうかしたの? さくらちゃん」
「さっきのご主人様、忘れ物をしちゃったみたいなんです。まだ追いかければ間に合うかもしれないので、あたし、ちょっと走ってきます」
あかねさんの返事を聞かず、そのままあたしはお店のドアから飛び出して行く。
夜の顔になったばかりの街は、まだまだ行き交う人が多くて、お店を出てすぐに辺りを見渡したところで見つけることができない。
どっちだろう――……
一瞬強く迷ったけれど、次の瞬間にあたしの足は駅前の方を向いて走り出していた。