嘘と苺とショートケーキ 【短編】
『い、行く!行くから待ってて!』
仕方なく慌てて立ち上がり、急ぎ足で給水タンクに繋がる細い梯子を登り始めた。
一度は登ってみたいと思ってたけど、こんな状況でそれを実現しなくたって…!
また泣きそうになるのを必死に堪え、あたしはカンカンと靴音を鳴らして上を目指した。
『ん、っしょ…!』
最後の一段を強く蹴り、あたしは梯子から給水タンクに移った。
そこには案の定、優雅に足を組んで男が寝ていた。
ただし、顔には陽光を遮るように開いた本が被せてある。
『……来たよ』
なんのリアクションも無いため、一応声を掛けてみた。
……返答、ナシ。