月光レプリカ -不完全な、ふたつの-


***



 朝から降ってる雨は、昼を過ぎてもしとしとと降り続いて、窓から見える灰色の空はいつまで経っても灰色だ。

 生理痛が酷いからと言って、今日は学校を休んだ。

 生理中だけど終わりかけだし、別にお腹も痛くないし、頭も痛くない。学校に行きたくなかっただけだった。

 昨日の夜、冬海から電話があった。鞄の中に入れたままにしてたから、着信に気付かなくて。でも、あたしは折返しかけることをしなかった。

 冬海が隠したがっていたことを、知ってしまって。普通に話せるわけがない。あたしはそんなに出来た人間じゃない。

 昨夜はそれから一睡もしていないし、お陰で寝不足で、寝不足だけど眠れなくてずっと窓の外を見ている。

 真実かどうか。それを知りたい。マミ先輩の言うことは本当なの?

 一晩考えて、いま思ってることはそれ。本当かどうか、知りたいということ。
 学校の昼休み中だろう時間に、冬海からメールが来た。

「さっきセンパイのクラスに行ったんだけど、休みだって。大丈夫?」

 返事はしなかった。あたし寝てるの。具合悪いの。そしてズル休み。サボってるの。

 お母さんは今日は友達と用事があるとかで、午後から出かけていった。

 あたしが心配だから約束をキャンセルするというお母さんをムリヤリ出かけさせた。

 だって具合悪くないし、別に生理痛でもなんでもないし。いま家にひとり。



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