月光レプリカ -不完全な、ふたつの-



「こういうの、自然消滅って言うよね」


 夏休みも終わるから、梓と美由樹と3人で買い物に出かけた。

 買い物の途中、ぼそっと言ってしまった。せっかく2人が話に出さないようにしてくれていたのに、また自分で言ってしまった。


「まだ仲直りできてないの? ていうか時間経ちすぎ!」

「夏休み終わるけど? なんなの?」


 2人に言われて、でも謝るとか謝らないとか、そんな簡単なことじゃないんだよなって思って。ため息が思いっきり出てしまった。


「何があったか知らないから偉そうなこと言えないけどさぁ」

 梓がサンダルを見ながら言う。デパートはあたし達みたいな夏休みの学生がたくさん居た。それを見て、ああ夏休みなんだっけと実感する。もうすぐ終わるけど。

「このままで良いのかなーって」


 2人は、それ以上は言わなかった。

 このままで良いかと聞かれればそうじゃないけど、でもだからってどうしたら良いのか分からない。

 冬海はまだ、バイトを続けているんだろうか。

 夏色のサンダルがキラキラするのを見て、胸が痛くなった。




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