君を愛したい
第1章~兄妹~

トップシークレット

───ドカッ


──ガスッ




「っ、く、そ……てめぇバケモンかよ」



「あ゛?」




俺は目の前で倒れている奴を冷たく見下ろす。




「5対1で無傷とかありえねえだろっ」



「有り得てるじゃないですか、先輩?」




そう言って俺は先輩の胸ぐらを掴んだ。

口だけ笑いながら。


そして再び殴りかかろうとした時




「蒼空(ソラ)、そのへんにしとけ。死ぬぞ?」




壁にもたれかかって本を読んでいた七瀬(ナナセ)先輩が俺に声をかけてきた。

そんな七瀬先輩をチラッと見て、俺はパッと手を離した。




「へーい」



「じゃ、行くか」



「っ、ま、待てっ!!!」




その場を後にしようとした時、さっき俺が殴り損ねた奴が声をかけてきた。


仕方なく振り返る、優しい俺。




「んだよ」



「てめえ、知ってんだぞ」



「は?」



「シスコンだってな!」




シスコン、ね……


俺は何か弱みでも掴んだみたいに笑う奴に、シラケた視線を送る。
< 1 / 25 >

この作品をシェア

pagetop