君を愛したい
そしてため息をついて、そいつの近くに腰を浮かせて座り込んで話しかけた。
「すっげぇ可愛いんですよ、俺の妹」
「……な、なに…」
何が言いたい
そう言いたそうな顔をする先輩を見て、俺はにっこりと笑った。
「先輩、前に俺の妹に告ってませんでした?」
「……っ、な……!!!」
「妹の彼氏は俺より強い奴がいいもんで。俺が妹と仲がいいことに嫉妬しないでくださいよ」
そう言い放つと、俺は立ち上がる。
そして、俺は少し先で本を開く先輩の元へ行きながら倒れる奴に一言浴びせた。
「俺がシスコンだって言いたきゃ言えばいい。まあ、あんたがすっげえ弱いってことの象徴にもなるけどな」
人の悪口を言う奴は弱い奴だ。
だから、俺は悪口は言わない。
ただ一人を除いて。
ふっと息を吐いた時、ひゅっと冷たい風が吹き抜ける。
俺はその風に逆らって歩いた。
「七瀬先輩、おまたせー」
「ったく、おせえんだよ」
軽く悪態をつく先輩に笑いながら、俺らはその場を後にした。