君を愛したい

      □
「先輩、さっきの本なに?」



「あぁ、これか?」




俺が危険なコミュニケーション…まあ、喧嘩…をしてた時、ひたすら本を読んでた先輩。

ちょっと気になってたんだよな、中身!

ワクワクしながら先輩の差し出した本を奪い取る。




「……えっと……“同性愛と心理学”……」




タイトルを読み上げて、俺は黙り込んでしまった。

……ドウセイアイ……?

シラッと先輩を見上げると、先輩は俺から本を取り上げながら口を開いた。




「なんだよ」



「え、先輩もしかして……モーホー「あほ」




ちょっと先輩から離れながら言うと、バシッと本で頭を叩かれた。




「いって…」



「気持ちが知りたかったんだよ。



禁断と言われてまで人を好きになる奴の気持ちを」



「………」




“禁断”

その言葉に、俺は喋ることを忘れてしまった。




「蒼空?」



「……た、たしかに読まねえとわかんねえよな、気持ちなんて」




声をかけてきた先輩に焦るように……いや、焦って答える。


俺は本なんて読まなくたって、気持ちがわかるから。

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