ダブルベッド

 申し訳ない気持ちが小さく募っていく。

「見たんだけど、その時はまだどうなるかわかってなくてさ」

「予定があったの?」

「いや、なくなったよ」

「ほんと? じゃあいいよね」

「ああ、うん」

 それから二人は待ち合わせの時間や場所を決め、電話を切った。

 涼しい風が心地よくなってきて、充はこのまま歩いて帰宅することにした。



 そしてその頃、桃香は一人出掛ける準備をしていた。

 いつもの鞄に詰め込んだのは、まだ誰も指を通していない、結婚指輪だった。



< 295 / 345 >

この作品をシェア

pagetop