ダブルベッド

 悩んだ末に、充は薄ピンク色のTシャツをまとい、髪はいじらず去年買ったキャップをかぶって家を出た。

 財布よし。

 携帯よし。

 簡単にチェックをして、車を発進。

 真夏の朝は早い。

 まだ6時前だというのに、太陽がギラギラしている。

 今日も暑くなりそうである。

 桃香のアパートに到着すると、私服姿の桃香が手を振っていた。

 桃香もまた充と似たようなキャップをかぶっている。

「おはよう」

 会社で見る彼女とは一味もふた味も違う。

 柔らかい桃香の笑顔に心が躍る。

 ゆるいウェーブヘアは、下ろしてある方が充の好みだ。

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