ダブルベッド

 充が勢いで発してしまった言葉に、桃香は言い返さなかった。

 二人は無言のまま、一旦座り直す。

 充はペットボトルのドリンクを一口飲み、桃香は涙を拭く。

 そうすることで一旦落ち着こうとしているのだ。

 それから何分かすると、すっかり日が落ちて暗くなってしまった。

 乗り物に施されたイルミネーションがキラキラと輝いて、それでも人々を絶叫させている。

 昼間のことを思い出しながら、充はぽつりと呟いた。

 桃香にだけははっきりと聞こえるくらいの声量で。

「俺は好きだよ、池田さんのこと」

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