ダブルベッド

 相変わらず美しい奈緒の笑顔。

 充の覇気はみるみる萎んでいく。

 怒りで満たされていた充の頭は、ハテナマークで一杯になった。

 なぜ沢田が毎熊奈緒と一緒にここにいるのだろう?

 桃香がこちらにやってきた。

「奈緒さん」

 え?

 なぜ桃香が奈緒のことを知っているのだろう。

「ももちゃん? えーっ? まさか、キノピーと付き合ってんの?」

「いえ。ちょっと遊びに来ただけで」

「そっか。そうだよねぇ」

 自分は桃香に釣り合わないとでも言いたいのか。

 失礼な。

 三人を眺めながら、充だけが状況を理解できずにいた。

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