キスフレンド【完】
あたしの足元に落ちている最後の一万円札。
紫苑が手を伸ばしたところで、あたしが先に拾った。
紫苑と同じように地面にしゃがみ込んで、同じ目線になって。
「たまには、あたしにも甘えてよ。紫苑の弱いところ見せてよ」
「姫……?」
「全部一人っきりで抱え込まないでよ。あたし、口固いよ?誰にも言わないよ。だから……――」
色々な感情がごちゃ混ぜになって、胸が苦しくなる。
こみ上げてくる熱いものをグッとこらえているあたしに、紫苑は優しく微笑みかけた。
「ありがとう」
そして、あたしの頭を優しくなでてくれた。
泣きたいのはきっと、紫苑の方なのに。