キスフレンド【完】

昨日……俺は確かに思ったんだ。


姫がいてくれてよかった……と。


母親に怒鳴りつけられて金を叩きつけられて、地面に散らばった万札を拾い集める。


あの時の俺の姿は、相当惨めだったに違いない。


札を拾い集めている間、怒りを通り越して虚しかった。


地面に散らばる札を必死で拾い集めるのがこんなに虚しいなんて知らなかった。


だから、姫には手伝わせたくなかった。


姫にこんな思いをさせたくなかったから。


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