キスフレンド【完】
「そんな深刻な顔しないでよ。可愛い顔が台無しだって」


あたしの心配をよそに紫苑はあたしの頭をポンポンッと叩く。


そして、ゆっくりとした動作であたしの唇にキスをするとちらっと部屋の掛け時計に視線を移した。


「理子、ごめん。ちょっと出かけてくるね」


「えっ?今から?」


「そう。遅くなりそうだから、先に寝てて」


「今日じゃなきゃダメなの?顔色も悪いし……――」


「大丈夫。戸締りだけちゃんとして、誰か来ても絶対に出ないように」


引き止めるあたしをサラッと受け流して紫苑はコートを羽織った。

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