キスフレンド【完】
「……?」


最後の角を曲がると、アパートが見えてきた。


そのとき、ドクンッと心臓が不快な音を立てて鳴り出した。


ドアの前に、見知らぬ男が立っていたから。


男がチャイムを押したと同時に、部屋の扉が開いた。


理子は一瞬だけ驚いたような表情を浮かべた後、男に笑いかけた。


俺の大好きな理子の笑顔。


それが今、あの男にだけ向いている……。


そう考えただけで、アパートに向かう俺の足は早まる。



「やっぱりな……」


男の顔がよく見える位置までたどり着いたとき、俺はグッとこぶしを握り締めた。


同じ講義を専攻している男。


それは以前、理子と楽しそうにしゃべりながら歩いていた男だった。
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