キスフレンド【完】

グルッと景色が回転して、あたしの背中は地面に押し付けられた。


「ねぇ、姫」


紫苑の顔は逆光であまりよく分からない。


だけど、多分笑ってる。


いつもみたいに柔らかい笑みを浮かべて。



「泣くほど良かった?」


紫苑はあたしの涙を指で拭う。


「ちがっ……」


否定したいのに、言葉が喉の奥につかえて出てこない。




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