キスフレンド【完】
お葬式が済んでからも、もうお父さんがいないという実感が沸かなくて。
休みになれば、お父さんと一緒に散歩をして。
大好きなバドミントンを一緒にやって。
一緒に買い物に行って、洋服をねだって。
お父さんはその度に、『理子は調子がいいな~』って笑いながらあたしの頭を優しく叩くんだ。
だけど、そんな当たり前の幸せはもう二度とやってこない。
それから2年が経った頃、お母さんが再婚した。
男の人が嫌いになったのは、きっとその頃から。
新しいお父さんはとてもいい人だし、よくしてくれる。
すごくすごくいい人。
だけど、本当のお父さんには敵わない。
いつも心のどこかで、新しいお父さんと亡くなったお父さんを比べる自分にいつも自己嫌悪していた。
自分の中で二人を天秤にかけることなんてできない。
だから、男の人をひとまとめにして嫌いになった。