狼彼女のお気に入り
「あれれ?ご機嫌だねぇ、翔君ッ♪」
「別に普通だ。」
「いや、明らかに機嫌良いだろ。何があった?」
「何もない。」
あの後、篠田は俺にこう言った。
“会長だけ見てるから、あたしだけのために一位とってきて。”
「ったく…」
そんなことを言われたら、嫌でも一位をとるしかない。
そう言いながらも、自然と口元が緩んでいる自分に気付いて苦笑してしまう。
俺は最近、篠田に惑わされっぱなしな気がするな。
たまには俺だって…
「…って当分、無理か。」
「なにが?」
「え?なんだ、優太か…」
「あのねぇ、次の競技、僕が出たいんだ。」
「次の競技……って“障害物競争”…?」
「うん!それなら僕も大丈夫な気がして…」
「そっか。そうだな。…頑張れよ!」
「そ、それで…」
「ん?」
優太が何かを言いたげに俯いている。