優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】
「もっきニンジンさんほしー!」



俺の膝に座って居た陽が、皿に乗ったニンジンのグラッセを指差した。

俺は陽のフォークでニンジンを刺して、食わせる。



「おいちー!」



「お前は可愛いなぁ。子供が欲しくなる(笑)」



俺は陽の頬に自分の頬をスリスリと擦り付ける。

ーーバシッ

そんな俺の肩を、姉貴が叩いた。



「何だよ?」



俺は姉貴を横目で睨む。

姉貴はテーブルに頬杖を突いて居る。



「後輩でも紹介しようか?(笑)」



「………良いや」



姉貴に何度か後輩を紹介して貰った事がある。

現に元カノの数人が、姉貴の紹介だった。

けれど今日は、何故か遊の顔が一瞬だけ浮かんだ。
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