優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】
「……何で、すか…」



普段なら避けて来た。

けど、今までとは違い、やけに気になってしまった。

基槻の友達は、私が話し掛けた事に驚いて固まって居る。



「…やっぱり、何でもありません…」



私は足早にその場を去り、階段を降りて、保健室へと向かった。

職員会議中なのか、保健室は無人だった。

私は勝手に水銀式の体温計を机から取り、脇に挟み、3分の砂時計をひっくり返した。

静かな保健室に響くのは、冷蔵庫と時計の音。

無性に寂しさを感じる。

基槻に会いたくなった…―
それよりおじいちゃんやおばあちゃん…―
誰よりも、お兄ちゃんに会いたい…―――。

自分が独り占め出来る人に、甘えたくなってしまった。
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