おかしな話だ
この本は全てのページにページ数が書いてある。

タイトルが書かれたページから、巻末の作者紹介、出版社の連絡先に到るまで。

何のメリットがあるかは直樹には分からなかった。

変わってるな、とは思ったがそんなことはどうでも良かった。

面白い。

さすが平均視聴率20%超えを記録したドラマの原作本。

作品の世界にどんどん引き込まれるような感覚。

直樹は完全に本の世界に飲み込まれていた。



どれくらいの時間が経っただろうか。

直樹は全てのストーリーを読み終え、作者紹介にも目を通していた。

「さすが岩下一成の自信作…なかなか良かったな。」
満足げに呟いて本を閉じ、大きく伸びをする。

…と

「…え?嘘だろ…」

直樹はある事実に気づき、今しがた読み終えた本の巻末、作者紹介のページをめくった先にある出版社紹介のページのページ数に注目した。

315ページ。

そのページの先にはもう裏表紙しかない。




おかしな話だ。
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