先生に囚われて
咄嗟に頬と目元を掌で擦り、目を合わせづらかったのでりぃ君の胸あたりを見る。


「う、うん。ありがとう、ごめんね……こんな時間まで」

少し擦れた声が出てしまった。


もうさっさと退散しよう、とソファーの横に置いてある鞄に近づきながら、


「今日、本当にびっくりした。まさかりぃ君が学校にいるなんて……」


深く聞くのが怖いくせにやっぱりそのことに触れてしまう。


「そうだな……まぁ、3年ぶりだしな」


そっか、そうだね。

「3年は……長いね」


りぃ君がまさか教師として私の目の前に現れるなんて、思っても見なかった。

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