【短】『鏡』
「・・・どうにかならないのか? 『アンドロイド』の暴走を止めることはできないのか?」
こんな事態を引き起こし、なのに何もできない自分を呪った。
「これを」
翼が差し出したのは、CD-ROMだった。
「これに入っている超音波を『アンドロイド』に聞かせれば、『核』の中の自己破壊プログラムが再生され、『アンドロイド』は破壊されるでしょう」
「・・・これは?」
「博士のお父様が作られたもののようです。“万が一のために”というメモと一緒に、お父様のお部屋に」
父さんは・・・こうなることを知っていたのか?
「でも、これを街中の『アンドロイド』に聞かせるなんて、そんなことができるのか?」
「街の中心にある司令塔(コントロール・センター)にセットすればいいのです。そうすれば、指令として超音波が世界中の『アンドロイド』に届くでしょう」
翼がこんなに詳しいのは・・・暴走しないのは、父さんと母さんの『核』のおかげなのだろう。
僕は本当に、二人を尊敬する。
「分かった。行ってくる」
「いいえ。街は博士には危険です。『アンドロイド』は、人間を滅ぼそうとしているのですから」
「じゃあ・・・」
「私が、行きます」
翼は当然のように言った。
自分はそのために生まれてきたとでも言うように。