ぱすてる
ぐすん‥‥ひっく‥‥

冷たい缶ジュースを手渡しながら

「おまえ、泣かねぇんじゃなかったのかよ?」
自分が泣かせたと思っているのか、

少し申し訳なさそうに孝治は言った。




「分かんない‥。」



「は?」


孝治が分かんないのはこっちだよというように小さいあたしを覗き込んだ。








「あたし、ずっと泣きたくても泣けなくなってた‥。

いつも笑っていようって思ってたの。

そうすれば誰も悲しむことはないから。

だけど‥なんでかな?

孝治くんの言葉で泣けてきちゃった‥。」




孝治はすぐに後ろを向いて頭をかいた。

そして一歩進むとこう言った。

「帰るぞ‥。」

辺りはすっかり暗くなっていた。





暗くなった道のりを孝治くんは

ずっと手を繋いで歩いてくれた。
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