狐に嫁入り!?


仕事をしているウタクに助けを呼ぶ声は聞こえるはずもなく、私は皐月さんから手渡された雑巾を握って立ちつくしていた。


「まずはこちらの廊下を突き当りまで雑巾がけお願い致します」

「突き当りまでって……」


皐月さんは何でもないことかのように申し付けてくるが、私は唖然とするしかなかった。


校舎の端から端まであるくらいの長さ。

学校で廊下を掃除するときだって、自分の教室の前しか掃除したことなかったのに……全教室分しろってこと?



でも……できないわけじゃない。

雑巾がけくらい、床に布広げて手をついて、ダダッと走ってしまえばなんてことないんだ。


ただ気になるのが……

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