狐に嫁入り!?
しばらく黙っていたがウタクはまだその場にいた。
「……黙ったままか……つまらんな」
小さく呟くように言うと私からそっぽを向いて歩き出した。
足音はやがて小さくなり、広い屋敷内へ消えて行った。
「何がつまらないのよ……私の方がつまらないんだから……」
池から出て、濡れた身体のまま池の淵にある石へ腰を下ろす。
身体から滴り落ちる雫が地面に模様を作った。
風が吹くと少し寒いくらい。
着替えが欲しい。
けれど、この状況を皐月さんに見られたら……何と言われるか。
見栄とかプライドじゃなくて、もう自分が卑下される言葉を聞くのが嫌だった。