狐に嫁入り!?
私が男から、手を握ったまま瞳の奥を覗き込むように視線を注がれていると、辺りから木を揺らす音が聞こえた。
また妖狐!?
そう思って警戒をしたけど
「坊ちゃま!」
と、目の前の男を呼んだので、彼の仲間だとすぐにわかった。
「……坊ちゃま?」
状況を必死に飲みこもうとする私の元へ彼の仲間が近づいてくる。
「おぉー、ヤマジ!すげぇ美女を見つけたぞ!髪も目も真っ黒だ!」
私を指さしてヤマジとかいう現れた男へ報告する。
恐らくヤマジは家来なのだろう。
しかも美女って……彼の基準は黒髪黒目だと美人っていうことなのかもしれない。