狐に嫁入り!?
呆然としたままウタクに何も言えず瞬きしかできない。
「ウタク様!お怪我は!?」
隣でいた皐月さんが心配そうにウタクへ声を掛ける。
皐月さんの問いに答えたのはウタクじゃなくてナライ。
「ウタクは怪我なんてしてねぇよ。俺が攻撃止めたもん!」
確かにウタクは血を流したり、痛がったりもしていない。
辺りもさっきと変わらないまま。
ギリギリでナライが攻撃を止めることができたらしい。
「ごめんね、実雨ちゃん!」
ナライは顔の前で手を合わせて、申し訳なさそうに謝ってくれた。
命の危険も伴ったわけで、本来なら許せないんだけど……今はちょっと……
ウタクが私を守ろうとしてくれたことで頭がいっぱいで……。