狐に嫁入り!?
「確かに人間と結婚して特殊な力を得れば、実雨ちゃんの願いを叶えられるかもしんねぇ。
けどさ、ウタクは商売繁盛の神様だろ?力をかなり消耗するはず。
それに掟違反だ。確実に大神様の罰を受ける。なのに、実雨ちゃんの願いを叶えようとしてる」
ウタク……そうだったの?
罰があるっていうのに、私の願いを……?
私が向ける疑問の目にウタクは何も答えてくれない。
ナライはまだ自分の考えを喋り続けた。
「大体、20歳で結婚っつう掟も破ってるのに、さらに掟違反したらかなり重い罰になるだろうし。
……あ。そういえばウタクが20歳で結婚しなかった理由って……」
ウタクの気持ちを自分なりに話していたナライは何かに引っかかったように口を止めた。
それは私が、ウタクの年齢を集落に住む善狐から初めて聞いた時から、ずっと不思議に思っていたこと。