狐に嫁入り!?


あの皐月さんが、私に頭を下げるなんて……。


私は皐月さんの姿を見て、何度も頷いた。


「うん……絶対助ける!

助けて……皐月さんにウタクとの新婚生活、見せつけてやるんだから」


私の憎まれ口に、皐月さんは勢いよく顔を上げて……


……薄く笑った顔を見せてくれた。



頬に一筋の涙が伝う。



「また……ご飯を食べて、腹を下しても知りませんからね」


「……今度から、ウタクに毒味をしてもらうことにします!」



ダメだ。

今は泣かない。


私はこみ上げてくるものを抑え、すぐに鳥居の方へと振り返った。


後ろから


「実雨ちゃん!すぐに俺らも行くから!!」


と、力強いナライの声が聞こえた。


「待ってる!!」


私は、ナライの方へ振り返らず、鼻をすすると、ナライの声に負けないくらいの足取りで歩き出した。




ウタク……待ってて。


今から、行くよ。
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