狐に嫁入り!?


「鳴釜神事とは簡単に申しますと、吉備の国のある神社に伝わる神事。

釜で水を沸かしながら、神官が祝詞を奏上し、

釜の上に置かれた蒸篭(せいろ)に米をいれ、混ぜた時の音で吉凶を占うもの。

ここは大神様を祀っている神社と繋がっています。その神社で行われているのでしょう」


聞こえてくる人の声は神官の祝詞だったんだ。

大神様の神社で、釜を使って行う吉凶の占い……。


祝詞を聞いてもわからないけど、耳を澄ましたままでいると、私達の前でウタクが立ち止まった。


「……実雨にも聞こえたか」

「ウタク!うん、聞こえる」

「あ、俺も!俺も今聞こえた!」

「今?狸は神経が鈍いな」


クイズの正解でも当てたように、元気よく言うナライに、ウタクは冷やかな視線を送った。
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