狐に嫁入り!?


それならいっそ……


「ウタクを信じるより、先生を信じる」


そう。

お医者さんが母を助けてくれるって信じることに決めた。



「医者も所詮人間だ。神に敵うはずがない」

「それでも私は、ウタクより先生の方が信じられるから」

「ふん、馬鹿の次は愚か者の称号を与えてやろう」


ウタクは不機嫌そうに息を吐き出した。

もう、愚か者でも意気地なしでも何と呼ばれてもいい。


「じゃぁ……私、帰るから」


「待て」


家に帰ろうと境内に背を向けると、ウタクの澄んだ声が引き止めた。

< 67 / 515 >

この作品をシェア

pagetop