悪い女-side廉-

茜ちゃんが言うのが俺のタイプ、だとしたらさ。ものすごく恥ずかしいんだけど、俺。


「あたし好きな人が出来た。廉にも雪乃ちゃんがいるでしょ？」


地味に動揺する俺に構わず茜ちゃんが歪んだ笑みを作るから、その言葉に嘘くさいと言えずに眉を上げた。

感情を隠すのが上手い彼女は、時々こうして嘘つきな笑い方をする。大概それはこれ以上踏み込んで欲しくない時。



「なんだ？終わりにしたいんだ？」



手放すつもりはないけど、



「じゃ、寂しくなったらいつでも呼んでね？」



そんな顔されたら仕方ない。



「…茜ちゃんは気に入ってたんだけどね」



最後の口づけは酷く甘かった。