悪い女-side廉-
「あ、根岸先輩おはようございまぁす」
いつの間に、目の前にいたのか。ただ、その名前に少し動揺したのが情けない。
「おはよ」
茜ちゃんが振り返る。何日振りでも変わらない、淡泊な表情。
「茜ちゃん♪久しぶり?」
純粋に嬉しかったのが表情に出たかもしれない。茜ちゃんが驚いたように固まる。
それが珍しくて、つい口許が綻んだ。
「茜ちゃん、顔赤い」
透き通る肌が桜色に染まって、無意識に指先が触れた。