世界の果てに - 百年の光 -

彼は面倒くさそうに振り返ると、何?と言いたげな瞳をあたしに向けた。


「…っ、えっと…」


訊きたいことがありすぎて、何を訊けばいいのか分からなくなる。


頭がぐちゃぐちゃで、急に泣きたくなった。


「………っ」


泣くな、と唇を噛みしめる。


急に泣いたりしたら、この人にとって迷惑になる。


思わず俯くと、不意に頭に何かが触れた。


「……?」


それは、温かい手のひらだった。


あたしは何故か、彼に頭を撫でられていた。


「…えっと…」


急に恥ずかしくなって、あたしは目を泳がせる。


ずっと黙っていた彼が、ゆっくりと口を開いた。


「…これって、拾いものになると思う?」


「え?」


気付いた時には、彼に腕を掴まれ、あたしは引っ張られていた。


「な、何…、どこ行くの?」


あたしが問いかけても、彼は黙ったまま。

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