世界の果てに - 百年の光 -
「…でもね、あたしは何に選ばれたのか、よく分からないんだ」
メルティが髪飾りに選ばれたように、あたしはこのブレスレットに選ばれてしまったらしい。
けど、肝心の選ばれた理由は、まだ闇の中。
「メルティみたいに、不思議な力が使えるわけでもないし…本当にあたしが選ばれたのかって疑うくらい」
違う世界に来て、呼ばれた理由も分からなくて。
それでもあたしが頑張れるのは、きっとあの二人がいるから。
「…特別扱いされるのって、きっとすごく辛いと思う。もしあたしがメルティの立場だったら、絶対嫌だもん」
メルティは澄んだ瞳で、あたしの話を聞いていた。
周囲の期待と小人族の未来を、この小さな女の子が背負っている。
神様がいるなら、きっと物凄く意地悪なんだろうなぁ、なんて思う。
「でもねメルティ、逃げてばっかりじゃダメなんだよ」
これはあたしの、辿り着いた一つの結論。
「ここから一歩踏み出す勇気。…それがあれば、世界は変わる」
「………勇気…」
ぽつりと呟いたメルティに、あたしは笑う。
「そう!ちゃんと自分の気持ちを言えばいいんだよ。さっきあたしに言ったみたいに!」
自分の気持ちを伝えるのって、勇気がいる。
でもその勇気を振り絞らないと、何も変わらない。