世界の果てに - 百年の光 -

ぱちくりと瞬きを繰り返すあたしに、イライラしたようにエルが口を開く。


「遠い国のシェルビッツだけを目指して確実に情報を手にするか、こまめに隣国を回って情報を探すか、どっちだ」


…それは、つまり。


あたしの答え次第で、エルとアスティの進路が決定するということ。


「あたしは…」


正直に言えば、すぐにでもシェルビッツに行きたい。


そこで誰か魔術師を探して、ブレスレットにかけられた魔術の根元を見てもらって。


それで情報を割り出して、すぐにでも日本に帰してもらいたい。


―――でも。



「あたしは、二人についていく」



そんな我が儘を、許してもらうわけにはいかないんだ。


「…あん?答えになってねぇぞ」


「なってるでしょ。後者よ、後者」


眉をひそめるエルに、あたしは言う。


「二人が歩く経路で行くの。その先に、シェルビッツがあればいい」


いつだって、二人はあたしのために動いてくれた。


これ以上、二人の旅の荷物にはなりたくない。


「それに…」


あたしは一息置くと、エルとアスティを交互に見る。


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