世界の果てに - 百年の光 -
思わず、嘘だろ!と叫びたくなった。
何をどう考えたら、そういう結論に辿り着くんだ。
複雑な俺の心境を察してか、アスティは苦笑した。
「本当に、考えたよ。エルが盗賊を辞めるのは嫌だ。でも、エルが離れていくのも嫌だ。だからオレも、盗賊になればいいんだ、って」
「………」
「王子だからとか、そんなの関係ないよ。オレは自分の道を、エルと歩んで行きたいって思ったんだ」
…バカだ。アスティは。
なに不自由なく暮らしていける道を、自ら捨てようとするなんて。
けど、一番バカなのは。
それを嬉しいと思ってしまう、俺自身だ。
「…命の補償は、出来ねぇぞ」
「うん。頑張って鍛えるよ」
「野宿なんかしょっちゅうだし、飯だって十分に食えないことも多い」
「うん。それでも、独りじゃない」
―――独りじゃない。
その言葉は、胸に響いた。
「…分かった。今日から、お前は俺の仲間だ―――アスティ」
差し出されたままのアスティの手を、ぐっと握った。
アスティは一瞬目を見張ると、すぐに微笑む。