世界の果てに - 百年の光 -
あまりの急展開に、心臓の鼓動が速くなる。
異世界から呼ばれた人物に会ったことがある人が、今、目の前にいる―――…。
「じゃあ…!チェディさんは、その人がどうしたのか知ってるんですよね?」
この世界に、呼ばれた理由。
そして、どうしたら元の世界に戻れるのか。
チェディさんは少し俯くと、静かに語りだした。
「…この世界は、百年に一度、傾くと云われています」
「百年に一度…傾く?」
眉を吊り上げるエルに、チェディさんは「はい」と言って続ける。
「内乱が起きる、あるいは災害に見舞われるなど、そういった不幸が重なることです。そして、世界が傾き始めた頃―――異世界から、人間が呼ばれるのです」
ごくり、と喉を鳴らす。
世界が傾く…そういえば、この世界に来てから、国のよくない噂をたくさん聞いた。
だから、あたしが呼ばれた…?
「それは…何のためにですか?」
「…この世界を、救う為です」
ハッキリと呟かれた言葉に、心にずしりと重い何かが乗っかった。
この世界を、救う。…あたしが。
何の力も持っていないあたしが、どうやってこの世界を救えるの?
それとも…あたしが気づいていないだけで、特殊能力があったりするのかな?