世界の果てに - 百年の光 -

あまりの急展開に、心臓の鼓動が速くなる。


異世界から呼ばれた人物に会ったことがある人が、今、目の前にいる―――…。


「じゃあ…!チェディさんは、その人がどうしたのか知ってるんですよね?」


この世界に、呼ばれた理由。


そして、どうしたら元の世界に戻れるのか。



チェディさんは少し俯くと、静かに語りだした。


「…この世界は、百年に一度、傾くと云われています」


「百年に一度…傾く?」


眉を吊り上げるエルに、チェディさんは「はい」と言って続ける。


「内乱が起きる、あるいは災害に見舞われるなど、そういった不幸が重なることです。そして、世界が傾き始めた頃―――異世界から、人間が呼ばれるのです」


ごくり、と喉を鳴らす。


世界が傾く…そういえば、この世界に来てから、国のよくない噂をたくさん聞いた。


だから、あたしが呼ばれた…?


「それは…何のためにですか?」


「…この世界を、救う為です」


ハッキリと呟かれた言葉に、心にずしりと重い何かが乗っかった。


この世界を、救う。…あたしが。


何の力も持っていないあたしが、どうやってこの世界を救えるの?


それとも…あたしが気づいていないだけで、特殊能力があったりするのかな?


< 206 / 616 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop